LinkedIn、登録しただけで満足してませんか?
「LinkedInって登録したけど、なんとなく放置してる」 「英語だし、何書けばいいかわからない」 「そもそも見てる人いるの?」
外資の人事をやっていると、こういう声、本当によく聞くんです。特に日本のビジネスパーソンの方、もったいないなって思うことが多くて。
でもね、実は外資系企業の人事やエージェントは、あなたが思っている以上にLinkedInで候補者を「検索」しているんですよ。そう、検索エンジンでググるみたいに、毎日毎日、条件に合う人を探してるんです。
私自身、LinkedInで候補者を探すことはしょっちゅうです。「この案件、どんな人がいるかな」って思ったら、まずLinkedInで検索。特にシニアポジションや専門性の高い職種になればなるほど、LinkedInは欠かせないツールなんです。
安斎響市さんという方のNoteでは、4回の転職でLinkedInを活用して年収が450万円から1,500万円以上になった実体験が紹介されていました。特に3回目と4回目の転職がLinkedIn経由だったそうです。検索に引っかからなければ、どんなに優秀でも見つけてもらえないんです。
LinkedInは"公開職歴書"
まず大前提として、LinkedInと履歴書は別物だって理解することが大事です。
履歴書は、応募した企業に提出するもの。相手が決まっていて、その相手に向けて書くものですよね。
でもLinkedInは、世界中に公開する職歴書。しかも「検索される」ことを前提に設計されているんです。
外資系企業の人事やリクルーターは、日々LinkedInで候補者を探しています。グローバルな大企業になればなるほど、LinkedInを使っていない会社なんてないと言っていいくらい。私が働いていた化学メーカーでも、本社の採用チームは毎日LinkedInで検索してました。
そして、ここがポイントなんですが、シークレット案件(非公開求人)は、LinkedIn経由で声がかかることが本当に多いんです。
求人サイトに出ている案件って、実は氷山の一角。本当においしい案件、つまり重要なポジションや高給のポジションほど、公開されずに「この人」って思った候補者に直接声をかけるケースが多いんですよね。
2008年からLinkedInを採用活動に使ってきた方が「一度作り込めば、待っているだけでもスカウトが届く」と紹介されているブログもありました。履歴書を一から作り直す必要もなく、カジュアル面談から始まることが多いので、転職活動の労力が圧倒的に少なくなるそうです。
外資の会社に直接見つけてもらえなくても、エージェントに見つかるだけでもシークレット案件に応募できる可能性が出てくる。これ、すごく大きいと思いませんか?
検索に引っかかる職歴の書き方
さて、ここからが本題です。
多くの人が「人事部長」「営業マネージャー」みたいな肩書きだけ書いて終わりにしてるんですけど、これじゃあ検索に引っかからないんですよ。
なぜかというと、リクルーターが検索するときって、肩書きじゃなくてキーワードで検索するから。
例えば、人事のポジションを探すとき、私だったらこんな感じで検索します:
- 「compensation design」(報酬制度設計)
- 「performance management」(人事評価制度)
- 「M&A PMI」(M&A後の統合)
- 「grading system」(グレーディング制度)
- 「talent acquisition」(採用)
つまり、具体的なスキルや経験、プロジェクトの内容を検索してるんです。「人事部長」だけだと、あなたが何をしてきた人事部長なのか、全然わからないんですよね。
外資転職ドットコムでは「LinkedInは職務経歴書として機能する」と解説されていました。プロフィールは「役割+達成したこと+学んだこと」を具体的に書くことが重要で、スキルに対する他のユーザーからの推薦(エンドース)をもらうことも可能だそうです。検索されるためには具体性が必須なんです。
職歴には"4つの要素"を入れよう
私がいつも候補者の方にアドバイスしているのは、職歴に以下の4つの要素を入れることです:
- 役割:何を担当したのか
- 成果:どんな結果を出したのか
- スキル:どんなスキルを使ったのか
- 規模感:どれくらいの規模のプロジェクトだったのか
具体例を見てみましょう。
❌ダメな例 「人事制度の見直しを担当」
これだと、何をしたのか全然わからないし、検索にも引っかかりません。
✅良い例 「グレーディング制度の導入プロジェクトをリード(全社500名対象)。等級定義の策定、報酬バンドの設計、移行プランの作成を担当。導入後、人件費の透明性が向上し、従業員満足度調査で報酬への満足度が15%改善」
どうですか?全然違いますよね。
この書き方だと、「grading system」「compensation design」「organizational design」といったキーワードで検索されたときに、あなたのプロフィールがヒットするんです。
しかも、数字が入ることで説得力が増す。500名の規模感、15%の改善という具体的な成果。これがあると、リクルーターの目に留まります。
職歴は箇条書きで、検索キーワードを意識して
LinkedInの職歴欄は、長々と文章を書くより、箇条書きで書く方が読みやすいし、検索にも引っかかりやすいです。
各ポジションで、3〜5個くらいの箇条書きで、主要なプロジェクトや成果を書きましょう。
そして、ここが大事なんですけど、検索されそうなキーワードを意識して書くこと。
外資に転職したいと思っているなら英語で。
例えば、営業なら:
- 「新規顧客開拓」じゃなくて「New business development」
- 「売上目標達成」じゃなくて「Achieved 120% of sales target」
- 「大手企業との契約」じゃなくて「Closed deals with Fortune 500 companies」
人事なら:
- 「採用活動」じゃなくて「Talent acquisition and recruitment」
- 「研修企画」じゃなくて「Learning & Development program design」
- 「労務管理」じゃなくて「HR operations and employee relations」
エンジニアなら:
- 「システム開発」じゃなくて「Software development using Python, AWS, React」
- 「チームリーダー」じゃなくて「Led a team of 5 engineers in agile environment」
英語で、かつ具体的に書くことで、検索される確率がグッと上がるんです。
英語プロフィール、怖がらなくていいんです
「でも、英語で書くのが不安で...」って声、本当によく聞きます。
気持ちはわかります。私も最初は「こんな英語で大丈夫かな」って思ってましたから。
でもね、完璧な英語じゃなくていいんです。伝わる英語でOK。
リクルーターが見ているのは、あなたの英語力じゃなくて、何をしてきたかなんです。多少文法が間違っていても、やってきたことが明確に書かれていれば、それで十分。
実際、私がLinkedInで見つけて声をかけた候補者の中にも、完璧じゃない英語の人はたくさんいました。でも、プロフィールから「この人、すごい経験してるな」って伝わってくれば、それでいいんです。
むしろ、完璧な英語を目指して何も書かないより、多少不完全でも書いてある方が100倍いい。
こちらのブログではかなり細かく書いてありますね。
LinkedInを英語で使いこなすことで毎週のようにリクルーターから声がかかるようになり、今では転職サイトを一切使わずに職業選択の自由を獲得していると紹介されていました。英語でのプロフィール作成が重要で、転職活動をしていない間も情報収集の場として機能するそうです。
英語で職歴を書くヒント
英語で書くとき、こんな感じでシンプルに書けば大丈夫です:
基本パターン
- Led [プロジェクト名] for [対象/規模]
- Managed [何を] resulting in [成果]
- Developed [何を] to achieve [目的]
- Implemented [施策] which improved [指標] by [数字]
具体例
営業:
- "Led enterprise sales team of 8 members, achieving 150% of annual target (¥500M)"
- "Developed strategic partnerships with 3 major automotive manufacturers"
人事:
- "Implemented new performance management system for 300+ employees"
- "Redesigned compensation structure, resulting in 20% improvement in employee retention"
エンジニア:
- "Led development of customer-facing web application using React and Node.js"
- "Managed migration from on-premise to AWS cloud infrastructure"
こんな感じで、動詞から始めて、何をして、どんな結果が出たかを書く。これだけでOKです。
Google翻訳やDeepLを使ってもいいんですよ。ただ、そのまま使うんじゃなくて、翻訳結果をちょっと自分で見直して、「これで伝わるかな」って確認すること。
LinkedInは"棚卸しツール"でもあります
ここまで読んでくださってありがとうございます。
最後に、私がLinkedInについて一番伝えたいこと。
LinkedInって、自分の職歴を言語化することで、自分の強みや再現性が見えてくるツールでもあるんです。
職歴を書くとき、「あれ、自分って何してきたんだっけ?」って考えますよね。そのプロセス自体が、すごく価値があるんです。
「あのプロジェクトでは、こういう役割だったな」 「この成果は、こういうスキルがあったから出せたんだな」 「自分の強みって、こういうところかも」
書きながら、自分のキャリアが整理されていく感覚、わかりますか?
そして、それが言語化できると、面接でも使えるし、上司との面談でも使えるし、自分のキャリアプランを考えるときにも使える。
あなたの経験は、誰かにとって"探していたピース"かもしれません。
「LinkedIn、なんとなく登録してるだけ」って人ほど、もったいない。
まずは、職歴を"検索される言葉"で書き直してみませんか?
完璧じゃなくていい。まずは1つのポジションから。具体的に、数字を入れて、キーワードを意識して書いてみる。それだけで、あなたが見つけてもらえる確率は何倍にもなります。
グローバルの大きい企業ほど、LinkedInを使っています。肩書だけじゃなく、やってきたことを細かく書く。それが、あなたの次のチャンスにつながるかもしれません。
さあ、今日からLinkedIn、本気で使ってみませんか?
このブログが少しでもお役に立てたら嬉しいです。外資転職やキャリアについて、また書いていきますね。質問やリクエストがあれば、ぜひコメントで教えてください!



